本日の読書 清野静『時載りリンネ!』1巻

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

時載りリンネ!〈1〉はじまりの本 (角川スニーカー文庫)

 本好きとしては、「文学少女」シリーズの遠子先輩を思わせるかのような設定に、つい手を出してしまったけど、期待していたものと、ちょっと方向性がずれてた感じ。「本+時間+魔女っコ」に、まんべんなく今時の萌えをふりかけ、狙いすぎるほど狙ってみましたって印象が強い。読んでると、先行するあれこれの作品の存在をひしひしと感じて、げって思ってしまうんだけど、なんか可愛くて憎めないのよね(笑)。私でもそこそこ楽しめたけど、やっぱりこの作品の想定読者は青少年で、妙齢の女性は含まれないのかも。
 「本を読むことによって得られる情報がご飯」な“時載り”の少女が主人公なので、「文学少女」ほどではないものの、本好きのハートを熱くするシーンが多々あり。どっさり本が詰まった書庫や図書館も、本の題名もばんばん出てくるし。じゅるじゅる(笑)。だけど、作者が書きたいことは、「本」じゃなくて「時間」なので、「本」を期待して読むと、そのヘンの微妙な温度差に、ガッカリすることになるかもしれない。題名が出てくるもののただそれだけで、そこから話が膨らむ訳ではないし、出てくる題名も、私にはさほど魅力的なタイトルではなかったし。ま、本と時間とを、わりと上手にまとめてはいるけど。
 ひと夏の物語としてそこそこ面白かったけど、説明的でしょぼいバトルが出てくるのが、かなりの減点かな。とある人物との邂逅シーンは、すごく良かったのに。
 人物&作品世界の紹介をしながらの1巻目だったので、2巻目以降がちょいと楽しみ。まだちょっと続きそうですねえ。しっかし、、、私、このイラストレーターの絵がダメだわ(滝汗)。主人公&物語の語り手が12歳ってとこにも違和感。ランドセル背負う小学生が冒険しちゃいけないって訳じゃないけど、せいぜい中学生ぐらいかと思いながら読んでたので。