クリストファー・プリースト『アンティシペイション』

アンティシペイション (サンリオSF文庫)

アンティシペイション (サンリオSF文庫)

 クリストファー・プリーストが1978年に編集したアンソロジー『アンティシペイション』の全訳。『アンティシペイション』とは「予想・予感・期待」の意味があるそうで、プリースト編集によるこのアンソロジー収録作品のどれもがラストに「予感」の余韻を漂わせていて、それがしみじみといい。素敵なのだ。
 才能豊かな8人の作家が、いかに自分らしさを出しながら作品に「予感」の余韻を残すか、どうこのテーマに取り組み作品に反映させたのか。とびきり刺激的で魅力的なテーマ競作集ですね、この本って。(ほぉんと、絶版なのが口惜しい。ハヤカワで復刊してくれいぃ!)
 私の好みだったのは、イアン・ワトスン「超低速時間移行機」、ボブ・ショウ「闘技場」、クリストファー・プリースト「拒絶」、J・G・バラード「ユタ・ビーチの午後」あたり。B・W・オールディス「中国的世界観」は、中国というか東洋に対してヘンな幻想を抱いているんじゃないの?と思わず突っ込みたくなるけど、散りばめられたガジェットに世界観がすこぶる魅力的。
 このアンソロジーを契機に、またまた読みたい作家&作品が増えちゃった。が、頑張ります(汗)。