本日の読書 『オトナの片思い』

オトナの片思い

オトナの片思い

 これ、上手い順に収録されてる訳ではないよね?(おい)栗田有起大島真寿美橋本紡井上荒野といった私が大好きな作家作品が収録されているので、それ目当てに読書。各作家の考える「オトナの恋愛」が如実に反映されているのが面白い。
 でも、短すぎるというかなんというか。短くても、これだけで完結している作品もあれば、ワンエピソードだけ切り取って見せられたかのようで納まりが悪く、イマイチ物足りない作品もあり。
 一番良かったのは、やっぱりトリの角田光代「わか葉の恋」かな。いろいろもまれ、恋愛がそんなに素晴らしいものではないと判ってしまっても、定食屋でちょくちょく出会う名前も知らない年下の男の子に、ほのかな思いを抱いてしまう主人公。もしかしたら何かが起こって恋が前進するかもしれないし、何もないまま終わってしまうかもしれない。でもこんな風に、誰かを思ってときめいたりどきどきすることって素敵なことだし、やっぱり必要だよなーと思ってしまう。大人になると、若い頃とは恋愛の質が変わるをしみじみ実感させてくれる、読了感爽やかな作品でした。
 そうそう「料理通信」に掲載された短編をまとめたアンソロジーらしく、各短編に食べ物が登場。空腹時に読むと、食欲を刺激されてお腹がぐーぐー鳴ってしまうので、要注意かも(笑)。石田衣良のフレンチ、伊藤たかみのひき肉入りカレー、三崎亜紀のおかゆ橋本紡のおでん、佐藤正午の鰻重、そして角田光代のおろしカツ定食。じゅるじゅるじゅる。今晩の晩御飯は、おろしカツにしようかな(笑)。