本日の読書 江坂遊『仕掛け花火』

 あの星新一が弟子と認めたのも判る!ショートショートなのに、情景豊かに鮮やかに描き出される物語世界の密度の濃さ。この世界のようで世界ではないような不可思議で奇妙な世界へと、一行目から引きずり込まれてしまう。全部で39編。大満足で読み終えた。
 『星新一 一〇〇一話をつくった人』でさわりだけ読んで、オチがものすごく気になっていた「花火」が、やっぱり一番好き。短い作品なのに、子供の頃のお祭りの喧騒やら情景やらが、まるで実際にその場にいて見ているかのように鮮やかに浮かび上がってくる。語りの上手さ。花火の鮮やかさと、くすんだ現実との対比も見事。そして!そういう伏線だったのかと、驚いたんでした。
 その他印象深かったのは、民話調の「猫かつぎ」、幻想的で情景が美しいのに、、、の「月光酒盛り」、まさしく奇想の「背中」「骨猫」、「夢ねんど」で私だったら、何を作るだろう。ラストでほっこりした「新しい店」、「棟梁」なんてもう、たまらないですな。つい箱を見るたびに覗いてみたくなる「箱娘」、そう落とすんかい!の「冬の同居人」などなど。
 来年には新作を収録した単行本が刊行されるとか。楽しみに待ってます!!
 この本も探そうっと。
あやしい遊園地―奇妙で愉快なショートショート集 (講談社文庫)

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