有川浩『図書館革命』

図書館革命

図書館革命

 ついにこのシリーズも完結。いくらでも書ける話だろうに、4巻で終わりにしたのはえらいなあ。でもどうやって終わらせるんだろう…と思いつつ、一気読み。
 なんか…締めにかかったからでしょうが、前作までに比べて、随分と話が地味だなって思った(汗)。それを補うかのように、ベタ甘さラブラブ度が煮詰めたかのようにアップしていたけど(爆)。
 私の記憶では、宮崎勤事件が最初だった気がするんだけど、物語で書かれているように、凶悪事件が起こる度に犯人に影響を与えたのではないかという小説や映像が槍玉にあがり、ヘタすると自主規制ってことで姿を消す…ことって、現実でもあるよなあと思いながら読んでいた。小説という形で、自由な作家活動を妨害しようとする言語狩りを告発し、抗議する姿勢には共感するけれど、こんな風に「そんな危険な本を書ける人物に自由な著作を許すわけにはいかない」で、作家自体が狙われるってどうよ?犯人が悪いんであって、作家には罪はないだろう?で、作家を図書隊が護衛するってどうよ?発想があんまりにも突飛すぎやしないか?基本的人権はどうした?とか、そんなところに引っかかってしまって(それとも、まだ狙われることがない社会で良かったと胸撫で下ろすべきなのか)イマイチ物語に乗れなかったのが残念。
 ただ、作中で、私がそれまでの物語で感じていた違和感が違和感として言及され、結果的に払拭されたこと、『図書館革命』の“革命”という題名通りの内容だったのは良かった。とてもいい終わり方をしたんじゃないかと思う。
 エピローグで絶句(照)。番外編が今から楽しみ楽しみ。