森見登美彦『有頂天家族』

有頂天家族

有頂天家族

 せっかくの今日、どの本読もうかさんざん悩みに悩んで選んだのがこの本。面白かったー!読んで良かったー!
 もりみんワールドが炸裂した、人間と狸と天狗(半天狗も!)の三つ巴がおりなす愉快痛快、極上この上ないエンタメ本。そして、心温まる兄弟愛(狸の、だけど)と家族愛(狸の、だけど)がたっぷり詰まった物語でもある。なんとも人を食った奇想天外摩訶不思議な話である。もっとも作中で食われるのは人間ではなく、狸だけど(笑)。
 ストーリ展開もさることながら、森見節とも言える独特の語り口調や言い回しが、絶妙かつツボ押さえまくりで、毛むくじゃらが物語るこの物語に小気味いいほどハマっているところがたまりません。何度ケラケラ笑ったことか!
 他の森見作品とのリンクを探しながら読むのも楽しかったし、「もしかしてもしかしたらそうなのかもしれない!」と思わず信じてしまいそうになる物語の力がある作品。京都という町の懐の深さに改めて感嘆すると同時に、裏の裏のようなまた別の不可思議な京都の物語を堪能しました。まだ回収してない伏線だって残ってるし、絶対に続編はありますよね???