島本理生『クローバー』

クローバー

クローバー

 冬冶と華子の双子の姉弟の物語。月9でドラマ化されてもおかしくないような、キュートなキャンパスライフを描いた青春小説。正直「あの理生ちゃんがこんな小説を書けるなんて!肩の力が抜けてて、自然体ですんごくいい感じだよ!こういう小説も大好きだよ」と思った。
 とことん華子には男運がなくて、いつも泣きながら冬冶の元へと戻ってくる。困ったもんだと思いつつ、そうやって頼りにされるのが内心嬉しい冬冶。だけど、ついに華子に運命の相手が現れて、、、。双子の相互依存からの卒業を、甘やかにほろ苦く描いた小説…てっきりそんな話かと思いながら読んだので、ぐんぐん冬冶の恋愛メインへと傾いて行って驚いた。悩めるモラトリアム青年が主人公だというのも、理生ちゃんの作品にしては珍しいのでは。
 いかにもな少女マンガキャラ、雪村さんの登場も楽しく読んだが、ラストがちょっと。熊野氏が登場した時から、もしかして?の予感があったけど、私が雪村さんだったら、逆に負担になって重たくてうんざりすると思う(汗)。