山本弘『ＭＭ９』

MM9

　こーいうバカバカしい事を壮大なスケールで大真面目にやってる話って、大好きだ♪怪獣好き、特撮好きにはたまんない作品だと思う。
　タイトルにあるＭＭとは「モンスター・マグニチュード」の略で、怪獣の規模を表す単位のこと。地震や台風と同じく自然災害の一種として“怪獣災害”が存在する世界、有数の怪獣被害大国である日本には、怪獣対策のスペシャリスト集団「気象庁特異生物対策部」略して「気特対」があって、日夜を問わず日本の防衛のために闘っていた。そんな気特対の隊員たちの活躍を描くエピソードが5編収録。
　“怪獣災害”が存在する世界の世界観がしっかり書き込まれているばかりか、この世界の物理学法則が通用しない怪獣を怪獣たらしめている「多重人間原理」だの「神話宇宙の物理法則」だの、もっともらしく語られるSF的蘊蓄の数々にやたらと説得力があるので、読んでいて楽しい（笑）。さすがはと学会会長！「ンな馬鹿な」と思いつつも、飛行怪獣グロウバットやメガドレイクと戦う気特対の隊員たちの活躍ぶりに、つい惹き込まれて読んでしまう。伝奇的要素も盛り込んだクライマックスシーンは圧巻。そして、最後の最後のオチにも。にんまり。そういうことなのかっ（笑）。もしかしてそれが言いたくて、この作品を書かれたんですかっ！（笑）
　エンターテインメント作品として、とにかく読んで面白いSF怪獣もの。密着もののパロディ、「密着！気特対24時」もいいなあ！特撮への愛も感じるし、こーいう話、好き好き大好き。