パトリシア・A・マキリップ『オドの魔法学校』
- 作者: パトリシア・A.マキリップ,Patricia A. Mckillip,原島文世
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/02
- メディア: 文庫
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タイトルからして「きゃん!あのマキリップが少年の成長もの&学園ファンタジーを書いたなんて!」だと思い込んで読んだら、ぜんぜん違う物語だった(汗)。
魔法が王の管理下にある国ヌミス。ヌミスの王宮の一部であるオドの魔法学校に、オドにスカウトされて未知なる魔法の力を秘めているらしいブレンダンが庭師としてやってきたことから物語は始まる。王宮では歓楽街である黄昏区で興行を始めた魔術師が噂になる。単なるめくらましなのか、魔法なのか。
まるでよく出来たお芝居を見たかのよう。凝ってるようで、案外とストーリはシンプル。ただブレンダン、ヤール、セタ、スーリズ姫、姫の婚約者ヴァローレン、アーネス、ミストラル、そしてオドなどなど、登場人物が生き生きとして魅力的。それぞれがそれぞれの事情や思惑を抱えて行動するのだけれど、それが結果的に、ヌミスを舞台とする巨大なタペストリーを織り上げることになっているのが素晴らしい。しかもユーモラスな隠し味さえある、夢幻的でロマンティックな物語を[個人的に、メリッドの行方がものすんごく気になった。それとブレンダンに“緑色をしたヘンテコな植物”の名前を教えてあげたくて、口がむずむず/笑。]
さすがは幻想の紡ぎ手マキリップの魔法譚!繊細に描写される魔法がいかにもらしくて、『妖女サイベルの呼び声』を思い返しながら久々の新作を堪能した。うっとり。いやー。マキリップはやっぱりいいなー。未読の作品が読みたくなったし、未訳の作品がまだまだたくさんあると思うので、ばしばし翻訳して出版して欲しい!!!