津村記久子『カソウスキの行方』

カソウスキの行方

カソウスキの行方

 タイトルの「カソウスキ」とは“仮想をするのが好きな私”ではなくて、“××が好きと仮想する”のカソウスキなのね(汗)。
 3編収録された作品集。どれもお仕事小説であり恋愛小説だった。絲山秋子作品をソフトにしたような感じ(絲山作品では男女の恋愛にならない友情を描いているけど)。仕事は出来るもののちょっと風変わりが女の子が、ちょっと気になる風変わりな職場の男性を振り回しているようで結果的に振り回されて、いつの間にか淡い思いが生まれて…という王道すぎるほど王道な物語に、コミカルな味付けが読んでいて楽しい。
 披露宴直前、新婦となる女性にさんざん振り回されてきた新郎による熱戦(?)を回想した「花婿のハムラビ法典」も面白かった。この作家の登場人物は、訳判んないヘンテコなルールを作るのが好きですな(笑)。