濱野京子『フュージョン』

フュージョン

フュージョン

 「すんごく良かった!」と感想書いてる方の日記を見て、興味を持って読んでみた本。
 手あかがつきまくったテーマを描いているのに「ダブルダッチ」を使うことによって、とても新鮮にみえる。ダブルダッチのシーンがとてもリアルに丁寧に書き込まれているから、まるで実際に跳んでいるシーンを見ているかのよう。躍動感あふれる描写がとても素晴らしい。
 ただその反面、メインである「中学2年の夏に夢中になれるものを見つけた朋花。ダブルダッチが取り持つ縁。4人が一つになる…少女たちの友情と固い絆物語」がやや弱い気がした。優等生の美咲、学校の問題児視されてる玲奈、ムードーメーカーなターナーの玖美という登場人物の書き分けはできていると思うが、それぞれがそれぞれにダブルダッチに夢中になる理由、あとから加わった形になる朋花との距離感をどう縮めていくのか等、朋花と絡むエピソードをもう少し深く踏み込んで書いて、読ませて欲しかった。朋花と玲奈が反発し合うのかと思ったら、すんなり受け入れられちゃったし。喫茶の店しずくのマスターで玖美のおじの類を巡るエピソードや失踪した兄の悠也のことも、私には消化不良気味だった。
 登場人物らと同世代の方が読んだら、また違った感想になりそう。って、やっぱり私、読む本間違えてる?(汗)朋花にも共感したけど、なーんか朋花に反発される母親の立場にも共感できてしまうのがなんとも(滝汗)。母親の「高校教師」という設定は、なんなんだったのでしょう、、、(汗)。