小川一水『妙なる技の乙女たち』

妙なる技の乙女たち

妙なる技の乙女たち

 時は2050年、軌道エレベーターがある赤道直下の島リンガ島。宇宙産業の拠点となったリンガ島やその周辺で矜持を持って働く若い女性たちを描いたオムニバス風のSF連作集。めっちゃ良かった!!すんごく好き好き!!
 どこに行っても男社会な中で、邪魔されたってへこたれず、主義主張を曲げることなく、持てる技で全力勝負し奮闘するしなやかな女性たちの姿が素晴らしい。キラキラ光り輝いてみえる。
 リンガ島が“地球で一番宇宙に近い島”だけあって、読み進めていくうちにだんだん強くなっていく宇宙への思い、憧れに胸が熱くなってくる。収録された7話のうちでは、いわくありげな麦穂自身がちょっとしたミステリにもなっている第5話「Lift me to the Moon」が一番好きかも。琴線に触れまくり。着眼点がナイスな、最終話7話もいいなあ(2話、3話の子供世代の話でしょう。ちょっとしたご褒美みたい/笑)。
 恋愛要素が皆無ということもなく、ばっちり盛り込まれてるのもいいし、連作集を読み進めるうちに徐々に浮かび上がってくる近未来の世界情勢なんかも興味深かった。なにしろ物語のトーンが明るく「夢見ていた明るい未来」を描いているところがすごくいい。好き好き。
 『プラネテス』が好きな人は、きっと気に入る作品なんじゃないかな?小川一水作品てやっぱり素敵。未読作品追いかけて読もうっと。