野崎歓『赤ちゃん教育』

赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)

赤ちゃん教育 (講談社文庫 の 14-1)

 「え?あの野崎さんが育児エッセイを!?」書店で見かけて意外性に驚いたものの、パラ見するとどうやら息子くんが鉄ちゃんらしい(笑)。長男は鉄ちゃんだし、ただいま暴走する3歳児を抱えて子育て真っ最中の我が家との共通点もあることだしと、購入してさっそく読了。
 一言でいえば、親バカ全開育児エッセイ(笑)。だけど、夜泣き、授乳、2歳児の反抗など、育児中に体験したあれこれを、名だたる作家の親バカエピソードや文学作品からの引用と絡めてユーモラスに綴っているところは、さすが翻訳家の野崎さん。文学の薫り高い育児エッセイなんて私、初めて読みましたよ(笑)。
 「育児」という切り口であれこれ文学作品が紹介されているので、野崎家の子育てにさほど興味のない方でも興味深く読めるかも。すかさず私、クッツェー『恥辱』をチェックチェック!また、『愛しあう』の作者が誰なのか*1、調べたくなった(笑)。うーん、誰も彼もみなさん、親バカなのねえ。微笑ましい。
 感心させられるのは、家庭の事情とはいえ、積極的に野崎さんが子育てされていること。鉄ちゃんな息子くんとのエピソードが微笑ましい。作中、子どもの成長の過程を「電車段階」「乗り物段階」とする理論を披露されているのだが(ただし男児限定/笑)、私もまったくの同感。我が家の男児2人も、まったく同じ成長段階を辿っておりますゆえに(笑)。

*1:ジャン=フィリップ・トゥーサンだった。息子くん、見たい見たい!/笑