ミシェル・ペイヴァー『追放されしもの』

追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)

追放されしもの (クロニクル千古の闇 4)

 ヨーロッパが深い森で覆われていた紀元前4000年のヨーロッパ北西部を舞台とするクロニクル千古の闇シリーズも、この作品で4冊目となった。
 前作で「魂食らい」と対決したものの、消せない刻印を身に受けてしまい、ケガレを氏族に持ち込んだトラクはハズシとしてワタリガラス族から追放されてしまう。そうタイトルの「追放されしもの」とはトラク自身のことだった!冒頭からいきなりの急展開にビックリ。追放されたハズシを救おうとするものは追放されてしまう掟なのに、にもかかわらずトラクを救おうと後を追うレンとベイルの厚い友情に、胸が熱くなる。
 ハズシにされてしまったトラクの運命とは?本当に魂食らいになってしまうのか?魂食らいの一人であるクサリヘビ族の魔導師セシャルの策略とは?そのあたりを物語の主軸に据えながらも、同時にウルフやレンとの絆の変化をも繊細かつ丁寧に描き込んでいる。個人的には狼の群れに戻ったウルフ視点パートの瑞々しさが印象に残った。このまま群れに残るのか、それとも〈背高尻尾なし〉とともに行くのか。p.401〜402は、読んでてきりきり胸が痛むほど、切なかった。
 明かされた謎がもたらした驚愕の事実に驚かされた一方で、また新たに生まれた謎もあり。確か全6巻の予定だと思うんだけど、無事最終巻までに広げた風呂敷を綺麗に畳むことができるんでしょうか。
 またシリーズ最初から2年経って、トラクも14歳になった。子供から一人前の大人へ変わりつつあるトラク。こちらも大人の女性へと変わりつつあるレンとの友情の行方からも、目が離せない!チェックチェック!(とすると、、、。人間に比べて成長が早いウルフのことが、今後ものすごーーーーーっく気がかり。もしかして…やっぱり?。)