飛鳥部勝則『ラミア虐殺』

ラミア虐殺 (カッパ・ノベルス)

ラミア虐殺 (カッパ・ノベルス)

 相変わらず飛鳥部さんて、ヘンな話を書くなあ(笑)。連続殺人事件の犯人捜しよりも、探偵役である杉崎廉の左手手袋の下が気になって気になって仕方がなかった私。わはは。好きな人は好きな話だと思う。でも読んで怒る人も確実に居そうだ。私?面白がって読みました(笑)。
 閉ざされた吹雪の山荘で起きる連続殺人の謎を解く本格ミステリかと思いきや、奇異に感じられたプロローグが伏線になっていたとは。クライマックスに唖然呆然しつつ、でも笑ってしまった。
 そしてつくづく、狂気に取り憑かれた人間を作中で描くのが好きな作家だなと思った。この作品でも登場人物がみなそれぞれがそれぞれに常軌を逸していて、その壊れ加減が物語の内容を的確に表現している。ああ、人間て人間て人間て。
 ちなみにタイトルの「ラミア」とは、上半身が女性で下半身が蛇の怪物のこととか(うーん。怪物がいっぱい/笑)。