大倉崇裕『聖域』
- 作者: 大倉崇裕
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2008/05
- メディア: 単行本
- クリック: 9回
- この商品を含むブログ (31件) を見る
大学時代の山岳部の友人で、海外遠征を控えていた安西がさほど難度が高くない塩尻岳で滑落して死んだ。なぜあれほどの技術を持つ安西が死んだのか。自殺か事故か、それとも殺されたのか?安西の死に納得いかない草庭は、知人らの協力を得ながら、一歩一歩死の真相に近づいていく。
真相を探るうちに浮かび上がってくる「山小屋を守ろう運動」のこと、山で遭難死した安西の恋人で草庭の友人でもあった絵里子の死の真相のこと、、、、。
前半、丁寧に書き込みすぎて遅遅として物語が進まずもどかしい思いをしたが(草庭、職場で殴られっぱなしってどうよ?/汗)その分中盤から後半にかけて物語が動きだし、驚愕の真相には驚かされたしラストで感動したけど、、、山への思いが強すぎて、あれこれ不必要なものまで詰め込みすぎた感じがした。
あと、安西の死の真相を探るミステリパートにページが費やされ、肝心の草庭の再生の物語パートがやや弱い気がした。勿体ない!
「人を寄せつけない冷酷さ、人に助けてもらうことを潔しとしない頑ななところがあった完璧な」安西がイメージしにくく、恋人だった絵里子さんとの議論「一人を助けるために、三人が犠牲になっては、意味がない。」がどう生かされたのかが、私にはよく判らなかった。絵里子さんは「私は助けるわ。何があっても」て言ったのよね、、、。
読み終えて思ったのは、NHKあたりでドラマ化してくれないかってこと。ドラマ化してくれたら、ぜひ見てみたいなあ。