2009年2月16日 - 2009年2月22日の読書メーター

2009年2月16日 - 2009年2月22日の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:902ページ

廃墟建築士廃墟建築士
私の好きな順は「図書館」=「蔵守」>「廃墟」>「七階」で。あの「動物園」がシリーズ化されたのは嬉しいが、「図書館の野性」はちょっと(汗)。私は見たくないぞ。アイデアは奇抜で斬新だし、硬質な文章も雰囲気も、由来など細部に凝って作りこんでるところもたまらなく好きなんだけど、なんかちょっと私には合わなかったようで残念。でも連鎖廃墟には行ってみたい(笑)。
読了日:02月17日 著者:三崎亜記
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ゆめこ縮緬 (集英社文庫)ゆめこ縮緬 (集英社文庫)
久々の再読。現なのか夢なのか。登場人物のみならず読者をも巻き込んで幻惑させる優美な毒に満ち満ちた皆川ワールド全開の作品集。冒頭の此岸と彼岸の狭間にあるかのような中洲の物語から一気に物語世界に惹き込まれる。耽美と官能が滴る物語に酔わされ心揺さぶられる。大満足。好き好き。
読了日:02月18日 著者:皆川 博子


女の庭女の庭
表題作は、専業主婦小説だった(笑)。一言で言えばしょうもない「主婦の妄想話」なんだけど、結婚して主婦になった途端に今までの個性が不要になり、暇を持て余して生きる「普通の主婦」に堕すると主人公に言わせてるところが、意外に真理突いてるようで皮肉で好き。「嫁入り前」は、なんというか…無茶苦茶(笑)。でも土偶の喩が腑に落ちたし、「女が女であること」について考えさせられる。私もこっちの話のが好きかな。そう言うのはこっぱずかしいんだけど(笑)。
読了日:02月20日 著者:鹿島田 真希


蝶番蝶番
桐島家の艶子、菓子、虹、棗の「若草物語」を連想させる四姉妹物語。艶子の突然の失踪から、仲良し姉妹を巡るなかなかに複雑な物語が幕を上げる。選者が選者だけに、初期の江國香織作品を思わせるところもあるが、「両親の自慢の娘」に屈託あるところなぞ、甘さ控えめでなかなかにリアルでビター。4人の描き分けも見事だし、四姉妹のその後が気になって後を引く物語だった。読んでいくうちにハマりました(笑)。
読了日:02月21日 著者:中島 桃果子


幼なじみ (Coffee Books)幼なじみ (Coffee Books)
いかにもこの作者らしい。なぜ彼はそう言い切れるのか、遡って検証する物語でもあるけど、「幼なじみ」の2人の時間が時に切なく、短いのが惜しいぐらい。牛尾さんのイラストが物語によく合っている。『花のようなひと』も確かこの2人の作品だったはず。また読めて嬉しい。
読了日:02月22日 著者:佐藤 正午,牛尾 篤

読書メーター

 子どもら2人の発熱騒動があって、読了冊数もちょっぴり少なめ。もうちょっと読みたかったな。
 絶賛する方が多い三崎亜記作品だったけど、なんかこう、イマイチ私とはしっくりこない感じでとても残念。描き出される奇妙で不思議で非現実的なシュールな世界は、決して嫌いではないんだけど、、、。シュールさ、ぶっ飛んでる加減では、鹿島田真希『女の庭』収録の「嫁入り前」のがしっくりくる気がする。
 装丁からして可愛らしい第4回新潮エンターテインメント大賞受賞作『蝶番』は、選者の江國香織さんの初期作品を思わせる四姉妹物語。個人的になぜかこの作品から四姉妹の本当の物語が始まる気がしたので、出来ることならこれに続く四姉妹物語を今後読ませて欲しいー(中島さんによる受賞の言葉がコチラ。江國さんの選評はコチラ)。
 最新刊の「Coffee Books」が読めたので、これで既刊分は全部読んだことになる。極私的な好みによる好きな順は、「幼なじみ」>「太陽の涙」=「水族」>「おいしい水」>「見知らぬ町」かしらん。絵と文章による極上のコラボ作品。“大人のための絵本”というコンセプトがよく分る。次回配本は日和聡子金井田英津子/画による『瓦経』だそうでとても楽しみ。これは買ってしまうかも〜。