2009年3月23日 - 2009年3月29日の読書メーター

2009年3月23日 - 2009年3月29日の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2226ページ

一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)一角獣・多角獣 (異色作家短篇集)
スタージョンてこんな作家だったの!」叫びたくなるぐらい見事にテイストがバラバラで驚いた。美しくてロマンティックな話もあれば、ねじくれていておぞましくほろ苦い味わいの作品までさまざま。一癖も二癖もあって一筋縄ではいかない「異色さ」にやみつきになりそう。どれもよかった。
読了日:03月23日 著者:シオドア スタージョン


雉猫心中雉猫心中
最初から最後までヘンな緊迫感に包まれていて心がぞわぞわ。全体を覆う得体の知れない薄気味悪さとじわじわ追い詰められていく閉塞感とで読んでいて息苦しくなってくる。一匹の猫から始まった物語、なんですよねえ、、、。この後がどうなったのか、気になってたまらない。
読了日:03月24日 著者:井上 荒野


女神記 (新・世界の神話)女神記 (新・世界の神話)
イザナミ・イザナキ神話の桐野夏生による新解釈。イザナミにナミマの物語を重ね、“死してなお嫉妬と怨みと憎しみといった生々しい感情に囚われ続けなければならない女性性”を描くところが面白い。女って女って、、、。そして改めて日本神話が男性優位なことに気づかされたのだった。うーむ。
読了日:03月25日 著者:桐野 夏生


舞い落ちる村舞い落ちる村
表題作、色彩が乱舞し言葉も数の概念も必要としない閉じた不可思議な村に酩酊させられるのだが、同じくらいどこか初期の松浦理英子作品を連想させる朔と主人公の繋がりに心惹かれた。「冬待ち」は最後でぱちんと夢から醒めて足が地につくような、現実と夢の狭間で輪郭をなくしてまどろんでいるようなところが好き。端正な文章で描きだされる独特の世界がものすごく好み。次回作も楽しみだ。
読了日:03月25日 著者:谷崎 由依


エ/ン/ジ/ンエ/ン/ジ/ン
なぜタイトルの「エンジン」がスラッシュで区切られてるのか謎だったけど、読んで納得。物語って「語り伝える」ことで、こうしてたくさんの人間によって「語られた」物語が読めて大満足。簡単にいうと“ある女性の父親探し”な話なんだけど、1960〜70年代の世相を絡めつつ外堀からじわじわ攻めていくようなアプローチの仕方が心憎い。エンジンを辿る旅が人と人との繋がりによってなされたところにじんと来た。相変わらずユーモアとペーソスのさじ加減が絶妙で「中島さん、大好きー」と叫んじゃいますよ(笑)。
読了日:03月26日 著者:中島 京子


瓦経 (Coffee Books)瓦経 (Coffee Books)
夢十夜」を連想させる不可思議で幻想的で静謐な短編が6編収録。物語もさることながら驚かされるのは、味わいが異なる短編それぞれに合わせて金井田さんの挿絵がタッチを変えていること。とにかく秀逸。本来の版画は勿論、目に鮮やかで淡い水彩画もあれば、作品のまま水墨画まで。文章の色や配置といった細部にまで拘っていて、読んでよし見てよし。物語と装画の絶妙のコラボだけでなく、本としての完成度が極めて高い一冊。好みはいずこと知れぬ異界に連れ浚われる艶めいた「摺墨」に「瓦経」、それにほっと安らぐ「掛軸」「裏白」。
読了日:03月27日 著者:日和 聡子,金井田 英津子


ブラザー・サン シスター・ムーンブラザー・サン シスター・ムーン
恩田さんが三分割されて、登場人物らに投影されてるみたい。もう二度と戻れない大学時代四年間という青春のあの日々。エピソードの向こうに自分の大学時代を重ねて見てしまい居たたまれなくなっちゃった(汗)。第二部まではどうしようかと思ったけど第三部読んで評価を変えた。ノスタルジーだけでなく、エールにもなっていてよかった。
読了日:03月28日 著者:恩田 陸


恋と恋のあいだ恋と恋のあいだ
年齢はまちまちだけど、なぜか気が合う女性三人の交流と三人それぞれの恋模様を描く。過去ではなく今を大切に生きる姿や、美味しいものをいっぱい食べるところには好感が持てるし、女性三人の適度な距離感の付き合いが心地良いものの、今の私には甘すぎる。三人の恋は早季子はありきたり、遼子はちょっと。悠が10代だったらよかったんだけどなあ。
読了日:03月29日 著者:野中 柊


今日もやっぱり処女でした今日もやっぱり処女でした
内山さんや福貴子さん(サイコー!)、あおばの父母のエピソードが強烈すぎるほど強烈で、細部が印象に残る分、全体の印象が薄い気がした。ごく普通の人間の日常て、こんな風にささやかでゆるゆるしてて、とりとめがないものだけど。このタイトルはどうなんですかね?
読了日:03月29日 著者:夏石 鈴子


ぬかるみに注意ぬかるみに注意
背延びせず、定まらずにゆらゆら揺らめく20代の女の子の感情の襞を描いているところが好き。どの話もどこにでもあるささやかな日常を切り取って描いたようなゆるさがあるけど、そのゆるさが心地よい。どの話もよかったけど「カノジョの飴」が一番好きかも。
読了日:03月29日 著者:生田 紗代

読書メーター

 後半、実家に子供二人預けていた&ダンナが休日出勤だったおかげで読書がはかどり、いつもの週に比べて読了冊数が多め。
 読了したなかですごくよかったのは、ようやく読めた『一角獣・多角獣』はもちろんのこと、谷崎由依舞い落ちる村』、中島京子『エ/ン/ジ/ン』、日和聡子『瓦経』でしょうか。借りて読んだけど、物語もさることながら文章がどこを取っても好きすぎなので、手元に置いておいていつでも読めるように買おうかと思ってたり>『舞い落ちる村』。とにかく物語を読む醍醐味を味わえるのが中島さんの『エ/ン/ジ/ン』、物語とイラストのコラボレーションが抜群によくて、迷うことなく買ってよかったーと思ったのが日和聡子『瓦経』でした。ああ、「異色作家短篇集」に「新・世界の神話」もどんどん読んで未読を塗りつぶしたい〜!