倉橋由美子『幻想絵画館』

幻想絵画館

幻想絵画館

 『ポポイ』読了後、舞ちゃん&慧くん繋がりで、ちょっと前に念願叶って入手したこの本を読んだ。
 20の絵画と20の短編。慧くんが引寄せる綺譚に古今東西の絵画が抱擁されているかのよう。絵画から紡ぎだされる奇想の幻夢に酔いしれる贅沢な一冊。慧くんの元を訪れる美少女達との交歓にも、だだ漏れする教養にもうっとり。そうか、慧くんは源氏の君だったのか。
 強く印象に残ったのは「ポポイ」を連想した黄の海が鮮烈な「サントロペ湾」。黄色は高貴な色であるのと同時に、狂気を孕む色でもあった。「選ばれた場所」の“知的な体”もいいなあ。