倉橋由美子『大人のための怪奇掌篇』

大人のための怪奇掌篇

大人のための怪奇掌篇

 「ポポイ」の原型となった「アポロンの首」が読みたくて再読。出版社が変わり、題名が「倉橋由美子の〜」から「大人のための〜」と変更されたのは残念だが、扉のモノトーンの写真が効果的で素敵。
 「“怪奇”掌編」だけあってどれも、怪奇色の強い奇想と毒想に満ち満ちた作品ばかり。純文学の作家とは思えない落とし方も見事で、どの作品も強い余韻が残る。濃厚に死とエロティシズム漂うところもたまらない。
 印象に残ったのは、やはり「アポロンの首」、それに「革命」「生首」「無鬼論」「イフリートの復讐」など。旧仮名づかいで読みたいな、とぼそり。