勝山海百合『十七歳の湯夫人』

十七歳の湯夫人【マダム・タン】 (MF文庫 ダ・ヴィンチ か 1-2)

十七歳の湯夫人【マダム・タン】 (MF文庫 ダ・ヴィンチ か 1-2)

 前作より舞台となる国もばらけ、まさにアジアン怪談。物語の味わいも様々で(まさに幕の内弁当!)、中には怪談というよりも切なくほろ苦い青春もの、幻想的で異国情緒たっぷりなファンタジー等あり、作家としての実力のほどがうかがえる。
 印象に残ったのは続きが読めて嬉しい「燕燕伝」、中国の古典的怪談も語り口を変えると、、、のほほんとしてとぼけた味わいが好き「四つ辻の男」、SF風の「琥珀海岸」、短いながら濃密でむせるような南国の空気が押し寄せてくる「南洋の女」、それに水場を巡るファンタジックな幻想譚「みぎわの面影」など。