歌野晶午『絶望ノート』

絶望ノート

絶望ノート

 
 ブラック歌野炸裂した極上のエンタメ作品。読んでそう愉快な気持ちになる内容でもないのに、絶望ノートの中身に惹き込まれて、つい最後まで一気読み。絶望ノートの「絶望」の意味に打ちのめされ、仕掛け云々よりもそうせざるえなかった心持ちに胸が苦しくなったり、ぞっとしたり。 
 個人的には「葉桜」や「世界の終わり〜」より衝撃度が高かった。意味もなく『神様ゲーム』を再読したくなった(読者を想定して書かれたものなのか、それとも自分独りのための誰にも見せるつもりがないものなのか。たぶんそういう意味でのノートなんだろうなというのは(一筋縄ではいかないこの作者のことだから)早々に気づいたけど。ど。ど。どこまでが事実でどこまでが創作なのか、こちらまで混乱させられる。想いがすれ違って相手に伝わらない分かってもらえないのが、一番「絶望」的かもしれない。ジョン・レノンがキーワードなんだから、そうだよね、あの人だよね。)