本日の読み終わり e-NOVELS編『川に死体のある風景』

 六つの川面に浮かぶ死体から始まる物語。「川と死体」をテーマにした競作ミステリ・アンソロジー。通称「川ミス」(笑)。あとがきまで収録されていて、創作裏話まで読めるのが嬉しい。
 歌野晶午「玉川上死」/川に死体が浮ばないじゃん!初っ端から変化球で度肝を抜かれる。明かされた(かもしれない)真相の後味の悪さではNo.1。冒頭から飛ばしてます。
 黒田研二「水底の連鎖」:提示される謎は不可解で魅力的なのに、真相がかなり強引な印象。けど、あとがきの面白さではNo.1(笑)。さすがはくろけん!
 大倉祟裕「捜索者」:「川ミス」じゃなく「山ミス」(笑)。実行可能なのかどうか疑問だけど、硬派で面白く読んだ。ユーモアミステリの作家という印象が強かったので、こういう作品も書かれるのかと意外な一面を見た気分。
 佳多山大地「この世でいちばん珍しい水死人」/創作デヴュー作とは思えない!どこか飄々とした語り口をとても面白く読んだ。次なる聖ペータ探索の物語を希望!
 綾辻行人「悪霊憑き」/ホラーと見せかけて…。この作品が連なる幻想怪奇短編シリーズを早くまとめて読みたいものだ。
 有栖川有栖「桜川のオフィーリア」/謎解きよりも、オフィーリアの美しさが印象強く残った青春ミステリ。某シリーズの探偵が登場するので、ファンにはたまりません!待望の新作長編へ繋がる物語になるのか!?
 6編とも作家のカラーが出ていて、それぞれをそれぞれに楽しく読んだ。歌野晶午、大倉祟裕、佳多山大地有栖川有栖作品が印象深く残ってます。