本日の読み終わり 平山夢明『メルキオールの惨劇』

 読んだら、たぶん2006年度マイ・ベストにランクインすると思われる『独白するユニバーサル横メルカトル』を読書する前に復習として、現時点での平山夢明小説マイベストである『メルキオールの惨劇』を再読。6年ぶりに読んだものの、いやあ、結構細部まで覚えているもんなんですねえ!!

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

メルキオールの惨劇 (ハルキ・ホラー文庫)

 参考にしたと思われる事件や作品や映画が、読んでいる内に次々に思い浮かんでくるんだけど、そんなのはどうでもいい。些細なこと。日本が舞台なのに、いつの間にか異次元の世界に迷いこんだかのような酩酊感を味わいながら、血生臭く狂気と暴力に彩られた殺伐とした荒涼の地へと誘われる。

 人の不幸をコレクションする男の依頼を受けた「俺」は、自分の子供の首を切断した女の調査に赴く。女の家には残された子供である朔太郎と礫がいた、、、。

 朔太郎と礫ら兄弟にまつわる秘密が明らかになる中盤以降、俄然物語は面白くなってくる。それに「俺」である12(トゥーブ)自身の謎まで絡んできて…読み始めたら、壮絶すぎる兄弟喧嘩がどんな結末を迎えるのか知りたくて知りたくて、一気に最後まで読んでしまう。どす黒い負の魅力をたたえた物語なのだ。ま、結末は…多少、うやむやのままで終わらせてしまった感があるけれど。続編が、ぜひ読んでみたいですね(6年経っても、まだ刊行されてない/涙)。いつまでも待ちますとも。