本日の読書 山崎ナオコーラ『浮世でランチ』

浮世でランチ

浮世でランチ

 私は、第1作目よりこちらの作品のが好み。ただ、もうちょっとですごくいい作品になったのに、もうちょっとが及ばず残念だったという印象が。会社を辞め東南アジアを放浪するかのように旅する今現在の主人公の旅のようすと、交互に綴られる主人公による回想の中学時代の物語とがあって、断然中学時代の物語のがいいの。もっと全面的に出せば良かったのに、という意見に、私からも賛成票を!
[傑作になりそうな雰囲気だけはあるのに、雰囲気だけで終わってしまったよう。これ、現在の旅と過去の回想とがどこでどうやって結びつくのか、期待して読んでたんですが、結局繋がった…の?でもこうくるとは思わなかったな。現在と過去とで意味深なエピソードとして扱われる「神様との文通」も、結局はうやむやのままで終わってしまったようで…。はぁ。でもみんなと同じように感じられない自分を持て余すヒリヒリした中学時代の物語はものすごく好み。好意を持っていただけに、犬井に「じつは…」告白されるシーンに、私まで胸が痛みましたよ。]
2作目を読んで、この作家はこれからどう変わるのか、とても興味を持ちました。3作目はどうなんでしょうねえ。楽しみ楽しみ。