本日の読書 川上弘美『ハヅキさんのこと』

ハヅキさんのこと

ハヅキさんのこと

 作者曰く「エッセイの体裁をとった小説」だそうで、小説よりもエッセイじみた雰囲気が濃厚にただよう短篇集。で、別れようとする2人の間の空気感を描いたいかにも小説らしい小説よりも、そういった本当がちょっぴり混じってるエッセイっぽい小説の方が、私としては好きだったりする。悲しいような不可思議な空気感が、たまらない短篇集でした。
 印象に残ったのは「森」「姫鏡台」「何でもなく」「ネオンサイン」「ぱちん」。あと5年か10年経って再読したら、より主人公らに共鳴して、抱える哀しみがすとんと胸の奥に落ちてきそう。