本日の読書 道尾秀介『ソロモンの犬』

ソロモンの犬

ソロモンの犬

 奥手な大学生男子秋内くんのドキドキ片思いキャンパスライフミステリ(笑)。なぜ愛犬と散歩中の陽介くんは死ぬことになったのか、なぜオービーは急に車道に飛び出したのか。その真相を、動物生態学から検証しようとする試みが面白かった。が、何よりも興味深かったのは、秋内くんの恋の行方だったりして(笑)。死者が出るものの、道尾作品らしくなく(笑)爽やかな読み心地だったのが、実に新鮮だった(笑)。
 注意して読んでいたのに、あのいかにも道尾作品らしい人を食った仕掛けには、まったく気付かなかったな。脱力のあまり、壁に投げつけようかと思い、思い止まったけど(笑)。ただ貼りまくった伏線を綺麗に回収しているさまは、お見事。堪能しました。
 『片眼の猿』よりは好き。だけど、そろそろ『背の眼』『骸の爪』のあのシリーズの続編が読みたい!