本日の読書 近藤史恵『サクリファイス』

サクリファイス

サクリファイス

 近藤さんの昔からのファンだし、絶賛する書評ばかり目にしていたので、ものすご〜〜〜っく期待して読んだんだけど…素敵な作品だとは思うものの、手放しで絶賛はできない…かな。ゴメンなさい(汗)。
 日本ではマイナーなスポーツ、ロードレース界を舞台にした青春ミステリ。あくまでも個人競技なのに、チームで勝つことがまず優先され、レースを作るための作戦として捨て駒になってアシストする役割の選手がいるなんて、まるっきり知らなかった。そこに作品の題材を求めた近藤さんの、目のつけどころが素晴らしいと思った。
 ただ、ロードレース界がいかに普通のスポーツとは違うのかを説明するために必要だったとはいえ、前振りが長すぎ(涙)。読んでも読んでもなかなかミステリにならなくて「どこがいいんじゃー!/怒」暴れたくなったけど、何気なく読み流していた部分に伏線があったと気づかされたり、最後まで読んで初めてタイトルの真の意味が分かるのがいいですね。ラスト、静かなる感動に胸が熱くなりましたわ。じんわり。
 残り40ページぐらいで、バタバタと物語が収斂しちゃうのが物足りないけど、話の流れからすると、仕方無いのか。チカちゃんの昔の恋人の登場が唐突で、なんか浮いちゃってる気もするし。って、圧倒的に書き込みが、ページ数が足りない(涙)。もっとじっくり描き込んで欲しかったな。どんだけ厚くても、ちゃんと読みますから。
 個人的には主人公チカちゃんよりも石尾さんが、めっちゃツボ。ものすんごくタイプだった。オレ様な傲慢なエースのようで、、、きゃあきゃあ。エースの彼を取り巻く人物が数多くいるものの、それぞれが自分が見たいようにしか彼を見ていなくて、彼の実像がなかなか見えてこない。このヘンの描き方が、とても上手い。で、チカちゃんしか、、、というのが、めっちゃツボでしたわ〜(はぁと)。
 いや〜男同士の熱い絆に萌えっ!(はぁと)。って、そういう読み方していいんでしょうか(汗)。
 自転車繋がりで、この作品が猛烈に読みたくなった!そういうえば加筆修正された『自転車少年記』が積みっぱなしだ。読まなくちゃ!
銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

銀輪の覇者 上 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-1)

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)

銀輪の覇者 下 (ハヤカワ文庫 JA サ 8-2)