本日の読書 野中柊『マルシェ・アンジュール』
- 作者: 野中柊
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/10
- メディア: 単行本
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非日常の空間である24時間営業の高級スーパー「マルシェ・アンジュール」に集う人間模様を描いた作品が6編収録。各話に何らかの形で登場する「マルシュ・アンジュール」が、集う人間によって、いっとき現実を忘れさせてくれる避難場所になったり、華やかなハレの場所になったり、孤独な魂を癒す場所となったり、普段心の奥底に押し込めてる本心が露呈する場所になったり、男女の出会いの場所となったり、、、。
「マルシュ・アンジュール」が浮き彫りにする集う人間たちの人生模様が、必ずしも明朗なものばかりでなく、陰であったり人生の滓のようなものまで垣間見せるところが、なかなかに興味深い。
大抵の作品の場合「マルシェ・アンジュール」は、現実離れした夢のような特別な空間と描かれているのだけども、最後の最後で、地に足がついた現実の場所になる演出も心憎い。
私が印象深かったのは「初恋」「予感」「星座」「聖夜」かなー。各話に登場し描かれる食べ物がすんごく美味しそうなところが、いかにも柊さんらしいのも素敵。
『その向こう側』同様コジャレた物語なのに、どこかどういいのか言葉にするのが難しいぐらい、素敵な小説集でした。