筒井康隆『ダンシング・ヴァニティ』

ダンシング・ヴァニティ

ダンシング・ヴァニティ

 「筒井康隆の新刊が出たんだあ」と、予備知識もなくただそれだけの理由で読んだので、ものすごく驚いた。ストーリらしきものはあるけど、どのシーンも突拍子もなく奇抜で、反復される文章(とは言うものの、繰り返す度に微妙に細部が変化し、まったく同一ではない)に唐突な場面転換はインパクト強烈。最初は訳も分からず戸惑っていたけど、以前出てきた旋律がまた出てきて繰り返されたりとボレロのようなリズムが感じられてきて、だんだん愉快になってきた。ズレながら反復することによる効果もあったし。
 最後になぜこんな文章表現になったのかネタばらしされたけど、、、私としては「ああ、やっぱりね」というか、ネタばらしがなくとも良かったぐらい。すんごく面白く楽しかった。くすくす。
 筒井康隆しか書けないし、筒井康隆だからこそ書ける作品でしょう。頑張ってるなあ!!“メタファーがいっぱい仕込まれてる”と教えて貰ったので、その箇所を確認しつつ再読してみたい。 
 個人的には「匍匐前進」がかなりツボだった(笑)。わはははは。