パトリシア A.マキリップ『チェンジリング・シー』

チェンジリング・シー (ルルル文庫)

チェンジリング・シー (ルルル文庫)

 8月はマキリップの新刊が2冊も刊行された、ファンにとってたまらない素晴らしい月だった〜♪こちらは小学館ルルル文庫から刊行された短めの長編の方。
 簡単な魔法は使えるもののごく普通の、でも父を殺した海を憎んでるごく普通の少女ペリが、海に恋い焦がれる王子キールと出逢ったことから物語が始まる。本来の自分が居るべき場所に戻りたいと切望する取り替え子(チェンジリング)されたキールとペリとの間に芽生えた感情の行方にどきどきしながら、「もしかしてもしかすると…三角関係?」。物語がどんな結末を迎えるのかわくわくしつつ、でも最大の関心は「ペリが誰と結ばれるのか」で。なるべくしてなったラストに、そうなるしかないよなあと思いつつも、もろもろについて全部ひっくるめて綺麗にまとめたラストに、「そう来るかー」にんまりしてしまった。末永くお幸せにー。
 ストーリは極めてシンプル。でも魔法と海とラブロマンスとがぎゅぎゅぎゅっと詰まっていて、いかにも『妖女サイベルの呼び声』の作者らしいお話だった。色彩鮮やかで美しく幻想的なロマンティック・ファンタジー。かなり好きだ〜♪