2008年12月1日 - 2008年12月7日の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1298ページ

あげくの果てあげくの果て
『鼻』でも思ったけど、小説の描き方が本当に巧い。単なるブラックな話ではないところに感心してしまう。痛烈だった表題作も良かったけど、なんといっても世相&社会風刺も絡めた「最後の言い訳」にとどめを刺された。お見事。
読了日:12月01日 著者:曽根 圭介

星のしるし星のしるし
29歳未婚の果絵の日常を描く小説。柴崎さんの「まるで小説として書かれた自分の日常を読んでる」かのようなフツーさ加減が好き。日常だからこその愛おしさ。派手さはないけど、日常を過ごすうちに起こる感情の起伏を繊細に丁寧に描いているとこに好感が持てる。主人公果絵の視線が好き。正月から花見の頃までが切り取って描かれているが、もっともっとずっと読んでいたかった。
読了日:12月03日 著者:柴崎 友香


未見坂未見坂
『雪沼とその周辺』と同じ世界観を共有する物語。地方の小さな町で暮らす老若男女様々な人々のささやかながら、でも大切な出来事を静謐で優しい筆致で描く。読んでいて思ったのは登場人物らに投げかける作者の慈愛に満ちたまなざしだ。時のかさなり。語りすぎず読者に委ねられる余白もまた心地よい。人あたりのよい文章にはほっこりさせられるが深くて、心の奥底にまで沁みてくる。なんでもない文章なのに、何度琴線に触れ泣かされそうになったことか。「雪沼〜」と合わせてぜひ!
読了日:12月04日 著者:堀江 敏幸


あの空の下であの空の下で
「旅」をテーマにした短編と吉田さんご自身による旅の光景を綴った旅エッセイが収録。作品ごとの「旅」のとらえ方が面白い。短いながら人生が友情がぎゅぎゅっと詰まってる「東京画」、いかにもだけど「ベスト・フレンズ・ウェディング」「流されて」が好き。それにしても旅に出たくなる〜!
読了日:12月05日 著者:吉田修一

元職員元職員
タイトルが利いている。バンコクロケして2時間ドラマにしたら面白そう。『今のあんたは偽物だ』。
読了日:12月05日 著者:吉田 修一

退出ゲーム退出ゲーム
読んでいて米澤穂信古典部シリーズ」を思わず連想。変人揃いの登場人物らの会話がとにかく楽しく、けらけら笑いながら読んだ。「青春」と「謎」のバランスがいい。表題作の巧さに唸り、最後の「エレファンツ・ブレス」に衝撃を受けた。徐々に部員が集まりつつある吹奏楽部、普門館目指して頑張って!続きが待ち遠しいシリーズが一つ増えた。
読了日:12月07日 著者:初野 晴

 先週読んだ本で印象深く残った本は、『あげくの果て』、『未見坂』、『退出ゲーム』でしょうか。漫画向きの作品だと思うので、ぜひコミカライズされたものも読んでみたいー>『退出ゲーム』。て、積みっぱなしの『水の時計』も読まなくっちゃ(汗)。