瀬戸内寂聴『奇縁まんだら 続』

奇縁まんだら 続

奇縁まんだら 続

 まるで寂聴さんが「あの方はね…」語りかけてくる声が聞こえるかのよう。
 前巻からだいぶ時代が下った印象。知っている作家、作家ではない人物との交わりも描かれていて興味深い。とにかく、瀬戸内さんの交流の幅広さ、情の篤さ、瀬戸内さんだからこそ心許し見せた作家の一面、そしてそれを描き出す瀬戸内さんの筆に脱帽する(かつての流行作家が、亡くなった途端に読まれなくなり忘れ去られてしまうのが切なかった)。
 瀬戸内さんだけが知る作家の姿をこうして作品として残してくれたのが嬉しい。朗作です。